7.ミステリーじみた英国の諺「戸棚の中の死体」の謎を解決してもらえた話
2000年4月4日
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海外物のミステリーを語るうえで情報量の多さと詳しさで有名な「風読人」(ふーだにっと)というサイトがあります。時々覗いていましたが、今回下記のような英国の諺に出くわしたので、あそこなら誰か知ってる人がいるにちがいないと、質問してみました。即座に回答があって謎が解けたのです。感謝の意味をこめて、またこの諺そのものが海外推理ファンには興味深いものと思われるので、許可を得て転載いたします。
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「家の中に死体」の英国の諺について 投稿者:写原祐二
投稿日:03月30日(木)13時52分23秒
こんにちは。時々のぞかせていただいております。
ここにいらっしゃる皆さんの読書量にはとても及ばないところで、お恥ずかしいのですが質問させてください。数日前から旧作の「メグレと幽霊」というのを読んでいますが、その中で
「がっかりなさいました?骸骨でも見つけるおつもりでしたの?」
彼女は《すべての家庭の箪笥には死体が入っている》という英国の諺に引っ掛けてからかうように言った。
- Vous êtes déçu? Vous espériez de trover un squelette?
Elle faisait allusion au proverbe anglais prétendant que chaque famille a son cadavre dans une armoire.
* Georges Simenon: Maigret et le fantôme (Chap.5) (原文の引用はこちらでのみ)
という個所がありました。実際どういう意味のことなのかお教え頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。
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家の中の死体 投稿者:藤原義也
投稿日:03月30日(木)19時19分56秒
これは「戸棚の中の骸骨」とふつう訳されている物ですね。
英語では "skeleton in the closet" または "skeleton in the cupboard" などと云います。意味は「外部の者には隠しておきたい家庭内の秘密」といったところです。
もとは英国の幽霊話やゴシック・ロマンスなどで、お屋敷のクローゼットや戸棚に古い骸骨や死体が隠されているというお決まりの場面からきたものでしょう。
一般的には、愛人や隠し子がいたり、人には云えない家庭内の不和、金銭上のトラブル、親族からでた精神異常者や犯罪者など、外聞をはばかる家庭の秘密全般に使われています。
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2000年05月15日
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以前No.7で書きましたように、英国の諺で「戸棚の中に死体がある」ということがどういう意味なのかを「風読人」さんのサイトで解決していただいたことがありました。今回また別の話の中に出てきましたので以下に引用します。
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「お前、この色の紙のこと知ってるだろ、え? 逮捕状の一つはお前で、もう一つはおれで、それに・・・ 捜査令状だ。お前は戸棚ん中に死体を隠してないだろうな。」
(『メグレと匿名の密告者』第3章から)
- Tu connais la couleur de ces papiers-là, non? Il y en a un pour toi, un pour moi, et … le mandat de perquisition. Tu n'as pas de cadavre caché dans ton placard?
(#101: Maigret et l'indicateur; Chap.3)
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