フランスの様々なメグレ本の表紙

Les couvertures d'éditions variées des Maigret

 フランスではメグレ作品のほとんどはポケット版スタイルで出されています。サイズは日本の新書版より少し長めの縦17.7cm、横10.7cm です。メグレ作品の出版に関しましては、数年ごとに表紙のデザインが変化してきました。しかしどのシリーズにしても版権の関係からか、あるいは読書マーケットの問題からか、全作品を網羅したものはありません。僕の原語版の所蔵本についても、大学の仏語の教授から譲り受けたもの、先輩から引き継いだもの、自分で古書店や洋書店から購入したもの、インターネット書店やネット・オークションから入手したものなどがありますが、表紙のデザインについては多様なものとなっています。ここに分類してみたのは、その時代ごとのデザインの特徴を比較・紹介しようと思ったにすぎません。このデータ作成に際しましては、下記の方々の所蔵する本の画像の提供にご協力いただきました。ここに改めまして感謝いたします。記載に誤り等がありましたら yuutsu-lj@infoseek.jp あてご一報いただければ幸いです。

2005年03月 写原・記


版の便宜上の呼び方
Appellation spontanée
出版社
Editions
発行年
Année


版の便宜上の呼び方
Appellation spontanée
出版社
Editions
発行年
Année
1 最新版(黒色版)
Courente
Livre de Poche 2002〜
13 シムノン全集版
Tout Simenon
Omnibus 1995
2 タラスコフ版(灰色版)
Taraskoff
Livre de Poche 97〜03
14 DR版 Presses de la
cité
1990
3 シムノン全集・生誕百年版
Tout Simenon Centenaire
Omnibus 02〜03
15 APF版 Presses de la
cité
85〜87
4 ルースタル版
Loustal
Omnibus Carnet 00〜02
16 フィルム版
Pellicule
Presses de la
cité
75〜77
5 ラボール版(ベルギー版)
Labor
Labor 2002
17 ガリマール版
Gallimard
Gallimard 64〜85
6 フェリヤーヌ版(大文字版)
Feryane
Feryane 04〜05
18 CM版
Collection Maigret
Presses de la
cité
76〜84
7 ポケット版(イラスト)
Pocket illustrée
Presses Pocket 98〜00
19 旧リーヴル・ド・ポッシュ版
Livre de poche
Livre de poche 69〜75
8 ポケット版(写真大)
Pocket grd-photo
Presses Pocket 89〜97
20 オレンジ版
Orange
Presses de la
cité
62〜73
9 ポケット版(写真小)
Pocket pti-photo
Presses Pocket 92〜93
21 パイプ版
Pipe
Presses de la
cité
57〜62
10 フルーヴ・ノワール版
(黒い河)Fleuve noir
Presses de la
cité
97〜03
22 Sパイプ版
Caractère S + pipe
Fayard 57〜62
11 簡易単語版
CLE lecture facile
CLE
International
99〜04
23 その他(戦中・戦前のもの)
Anticipés
(未入手)
12 アシェット学習版
Hachette Educatif
Hachette 97〜03




※資料協力者(謝意avec reconnaissance): 雲野充郎氏、雄馬助さん、Rogerさん、emouluさん、J.H.さん、celerieさん、Trusselさん、Jacque-Yvesさん(追加予定あり)

シムノンのメグレ作品の執筆時期区分
(作品No.はメグレ全作品一覧による)
第1期: No. 1〜19 (1929-1933) 戦前
第2期: No.20〜46 (1938-1941) 戦中
第3期: No.47〜102 (1945-1972) 戦後

作品番号による作品一覧参照は淙穂さん作成のリストへ

* 本の出版年月は、最終ページにある印刷完了(Achevé d'imprimer) の日付から採取していますので、最初の発行年ではなく、増刷分の場合もあります。作品は少なくとも1回はどこかの版のサンプルの中に掲載されています。


1. 最新版(黒色版; Courante)

 2002年10月以降〜2005年現在続刊中。第1期(No.1〜No.19)と第3期(No.47以降)を共通のデザインで統一して出すのはメグレ出版史上おそらく初めてである。表紙はモノクロの写真画像の上部に黒い帯のタイトル、黄色のメグレ Maigret の筆記体が書かれている。一目でノワール物の印象がする。版元はリーヴル・ド・ポッシュ(Livre de poche)で、第3期の作品についてのISBNコードは下記のタラスコフ版と同一になっている。
Une confidence de
Maigret (No.81)
メグレの打明け話
2002.02
Maigret à New York
メグレ氏ニューヨーク
に行く (No.49)
2002.11
Au rendez-vous des
Terre-Neuvas
港の酒場で (No.9)
2003.02
Maigret à l'école
メグレと田舎教師 (No.71)
2003.09
Liberty Bar
自由酒場 (No.17)
2004.03
La danseuse du
Gai-Moulin (No.10)
ゲー=ムーランの
踊り子 2004.05
Monsieur Gallet,
décédé
死んだギャレ氏 (No.2)
2004.06
Maigret voyage
メグレとかわいい
伯爵夫人 (No.78)
2005.01


2. タラスコフ版(灰色版;Taraskoff)

 数年前までは日本の洋書屋さんの店頭にもこのシリーズが並んでいたので一番なじみ深い。灰色の枠の中にマルク・タラスコフによる水彩画で事件にちなむイラストが描かれている。メグレがコートを着て帽子をかぶり、パイプをくわえて歩いている姿は全巻に共通する。2003年までメグレ作品の第3期(No.54以降)の長篇のうち30点近くが発行もしくは増刷されていた。したがって上記の黒色版とは期間が入り組んでいる。
La première enquête de
Maigret (No.56)
メグレの初捜査
2001.01
Maigret chez le coroner
メグレ保安官になる
(No.58) 2001.06
Maigret en meublé
メグレ夫人のいない夜
(No.64) 1999.11
Maigret et l'homme
du banc (No.68)
メグレとベンチの男
2001.03
L'Ami d'enfance
de Maigret (No.96)
メグレの幼な友達
2001.06
Le Voleur de Maigret
メグレの財布を掏った男
(No.93) 1999.10
Maigret à Vichy
メグレとリラの女
(No.94) 1998.01
Maigret hésite
メグレと殺人予告状
(No.95) 1997.12
La Patience de
Maigret (No.91)
メグレと宝石泥棒
1999.04
La Folle de Maigret
メグレと老婦人の謎
(No.99) 1999.12
Maigret et l'indicateur
メグレと匿名の密告者
(No.101) 1998.02
Les mémoires de
Maigret (No.62)
メグレの回想録
2001.02


3. シムノン生誕百年版(Centenaire)

メグレの生みの親、作家ジョルジュ・シムノンの生誕百年(2003年2月)にあたり、オムニバス社 Omnibus からこれまで出されていたシムノン全集に「百年記念(Centenaire)」と冠して2002年11月から2003年2月にかけて全27巻が売り出された。表紙の画像はシムノンが自分で撮った写真をもとにしている。全集なので非メグレの作品も一緒に入っている。サイズは日本の軽装版の単行本に近い。(13.0cm x 19.2cm)
Tout Simenon Tome 8
シムノン全集第8巻
Maigret et le corps sans tête
メグレと首無し死体 ほか7篇
2002.11
Tout Simenon Tome 15
シムノン全集第15巻
Maigret et l'homme tout seul
メグレとひとりぼっちの男
ほか7篇 2003.01
Tout Simenon Tome 24
シムノン全集第24巻
L'inspecteur Cadavre
メグレと死体刑事 ほか6篇
および メグレ警視の事件簿
の短編集 2003.02


4.ルースタル版(Loustal)

漫画家ルースタルの挿絵入りの愛すべき短篇作品をオムニバス社 Omnibus が出版、これまで6点を数える。サイズは小型ノート版(カルネ carnet)という百ページ程度の薄さで、大きな活字で読みやすい。特に最近全集に追加された短篇『死の脅迫状』(No.103)が含まれ、単行本としては貴重な一冊である。
Le client le plus
obstiné du monde
世界で一番ねばった客
(No.51) 2000.09
On ne tue pas les
pauvres types
可哀そうな奴は殺さない
(No.53) 2000.09
Ceux du Grand Café
グラン・カフェの人々
(No.38) 2001.09
Menaces de mort
死の脅迫状 (No.103)
2001.09

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